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| ●肝臓とは | ||||
肝臓という臓器は心臓とともに重要な臓器です。でもこの肝臓は心臓のようにドキドキと拍動する こともなく、胃のようにキリキリ痛みを表すことも無く黙々と仕事をこなしてくれる沈黙の臓器です。 その働きも精密を極め、脳とともに複雑多様な働きをする臓器の代表格です。 そこで簡単に肝臓の機能や構造について少しおさらいをしますと、肝臓の重さは約1.5kgと 人体最大の臓器です。 位置は上腹部の右寄りにあり、上には横隔膜に接し、下には胆のうがあります。肝臓は正確には左右2つに分かれており右葉と左葉に分かれています。さらに細かく観察すると肝臓は肝小葉という直径1ミリほどの小さな組織が集まってできていることがわかります。 肝小葉を作っているのは肝細胞と呼ばれる細胞で、その数は約2500〜3000億個もあり、肝機能の中心的役割を担っております。 もう一つ肝臓には大きな特徴があります。それは門脈という独自の血管系を持っており、門脈は胃や腸で消化吸収された栄養素やすい臓から分泌されたホルモンなどを肝臓へと運んでいます。
肝臓には大きくいうと3つの働きがあります。 「代謝」「解毒」「胆汁の生成」という3つに分けられます。 まず代謝ですが、私たちが食べ物からとった栄養素を体で使える形に作り変えたり、貯蔵、 供給する働きをいいます。 解毒とは体にとって有害な物質を分解して無毒化する働きです。胆汁の生成とは腸内での消化吸収に必要な胆汁を作る働きです。 さらに肝臓は古くなった赤血球から放出されたヘモグロビンが分解されてできたビリルビンを水に溶けやすくして排出しやすくします。ビリルビンは胆汁の中に排出されるため胆汁は濃い黄色に着色されています。実は大便の色もこのビリルビンの代謝物によるものです。 また肝臓には女性ホルモンを代謝する作用もあります。そのため、肝臓の機能が低下すると女性ホルモンが多くなりすぎ、男性の乳房が女性のように膨らんだり、胸や腕の毛細血管がくもの巣のような形に浮き出たり手のひらが赤くなったりといった症状が現れます。このようにいろいろな物質を分解したり合成したりしている肝臓はまさに”体内の生化学工場”の名にふさわしい働きを担っています。
肝臓は沈黙の臓器であることには理由があります。 まず肝臓には胃などと違い胃が障害されたときには痛みや嘔吐などで自覚症状が現れ簡単に今、胃が痛んでいるなどと分かるようにできています。でも肝臓には神経が通っておらず、痛みや自覚症状も現れません。 ですから肝臓ガンなどに肝臓の大半を破壊されても痛みをほとんど感じず、黙々と働き続けることからこの呼び名がつけられたのです。 また肝臓には他の臓器と違い非常に強い再生能力があります。肝臓では肝細胞の一部が死んでも、すぐに隣の肝細胞が分裂して穴埋めをします。また手術で肝臓の70%を切除した場合でも数ヶ月もすればほとんどもとの大きさまで戻ります。次々と新しい細胞が再生されるのです。 このように非常にタフな肝臓だけに、何らかの症状が現れたときにはかなり病状が進んでおり、治療には長い時間を要することになります。
肝臓病にはいくつかの原因が考えられています。皆さんがよく考えるのは 「お酒はあまり飲んでいないのに」と考えがちですが、 実は簡単に大別しますと4つの原因が挙げられます。 @ウイルス性 Aアルコール性 B薬剤性 Cその他 (自己免疫疾患、原発性胆汁性肝硬変、遺伝性代謝疾患)です。 日本での現在肝臓病の大半はウイルス性肝炎なのです。 肝臓癌に至る肝臓病はウイルス肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、薬剤性肝障害、 肝硬変などがあります。 ウイルス性肝炎:ウイルス肝炎を引き起こす原因にA型,B型,C型,D型などの いくつかの肝炎ウイルスの存在が 明らかになっています。 この中でB型、C型肝炎は慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌へと進行する可能性があります。 アルコール性肝炎:大量のアルコールを飲み続けると脂肪肝から肝線維症となり、また大量飲酒が続きますとアルコール性肝炎となり、肝硬変に移行します。C型肝炎ウイルスが発見されるまではアルコールは肝臓の大敵と言われました。確かにC型肝炎に比べて肝臓癌になる割合は低いものの、肝機能障害を起こす因子であることには変わりありません。 脂肪肝:肝臓に中性脂肪が蓄積した病態が脂肪肝です。栄養の摂りすぎ、糖尿病、アルコールの常習飲酒は脂肪肝の元です。 薬剤性肝障害:薬の使用量が一定量を超えたことで起きる中毒性肝障害、薬が臓器に蓄積することで起こる蓄積性肝障害、薬に対するアレルギー反応によって起こるアレルギー性肝障害などがあります。 肝硬変:C型、B型肝炎の慢性化、アルコールの常用飲酒は肝細胞を破壊し続けます。その結果、本来滑らかな肝臓が硬く、萎縮してこぶが出来た状態に変化していきます。 ウイルス性肝炎について 肝細胞が壊れるメカニズムには大きく分けて2つに分類できます。 1つは原因自体が肝細胞を破壊すると言うものです。鎮痛解熱剤のアセトアミノフェンなどの薬剤による肝障害やアルコール性肝障害などです。 もう一つが原因自体には肝細胞を壊す作用はなく、原因を排除するために起こる免疫反応によって肝細胞が破壊されるものです。つまりウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎、アレルギーで起こる薬剤性肝炎などです。 では肝炎を引き起こす免疫とはどんな働きをしているかと言えば、私たちの体内に異物(抗原)が侵入してくると、抗体という武器を作り、抗原を攻撃し排除しようとします。 この働きを「免疫」といい好中球やリンパ球など免疫に参加する細胞のことを免疫細胞といいます。 ウイルス性肝炎では肝炎ウイルスの作るタンパクが、自己免疫性肝炎では自分の肝細胞膜の構成成分が、また薬剤性肝炎では薬の成分が抗原となります。そして免疫細胞の抗原に対する戦いが肝炎という症状を引き起こし放置すれば抗原が排除されるまで肝炎は続きます。 肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスは肝細胞に取り付きます。すると、免疫はウイルスに対する抗体を作るのですが、ウイルスが一旦肝細胞に入ると、抗体は大きすぎるため、細胞の中まで追いかけてくることは出来ません。しかしなんとしてもウイルスを肝細胞から血中へと叩き出さなくてはならないので「細胞傷害性Tリンパ球」という兵隊が活躍することになります。 ウイルスに取り付かれた肝細胞は「ウイルス関連抗原」という目印を掲げて、ウイルスに感染していることを知らせます。細胞傷害性リンパ球はこの目印を標的に攻撃を仕掛け、感染を受けた肝細胞ごとに破壊していきます。 肝細胞が破壊されると、細胞内に巣くっていたウイルスは血中へと放り出され、最終的には対外へと排除されます。そして感染を受けた肝細胞が一定範囲内で、かつその人の免疫力が正常であればウイルスは排除されて肝炎は治ります。 肝臓癌になる人のほとんどはC型肝炎から 肝硬変を中心とする慢性の肝疾患は30〜64歳の年齢層の死因順位の第4位、65〜74歳の年齢層では第5位を占めています。 さらに看過できない点は死因の第2位(第1位が脳疾患、3位が心臓疾患・2003年時点)である癌の中で肝臓癌による死亡者が男性で約23000人、女性で約9000人に達していることです。 現在肝疾患で死亡する人は年間4万人を超えており、その内約3万人が肝臓癌と言われるばかりか、その数字が増加傾向にあるということです。 肝臓癌が他の癌と異なる点が、ほとんどはB型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスの持続感染からくる慢性肝疾患(肝硬変)によって発生している点です。 その経過を見ると肝硬変では年間約7%、慢性肝炎では2%の肝臓癌が発見されています。 一見少ないようにみえる、この数字は例えば肝硬変患者を30万人、慢性肝炎患者を150万人として計算した場合、年間3万人の肝臓癌が発生することになるのです。 しかも、注目すべきは、その7割から8割がC型肝炎によるものということです。 それに加えて、最近社会問題にもなっている80年代に止血剤として使用されていた血液製剤「フィブリノゲン」によってC型肝炎に感染し、キャリアとなって存在している人たち人数が掴みきれていないのも、C型慢性肝炎患者を増加させる1つの要因になっています。
GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ) と GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ) は肝臓病の検査では最も良く耳にすることばです。どちらもアミノ酸代謝に関係の深い酵素で、肝細胞中に大量に存在しています。普段から血液中にも微量に存在していますが、肝細胞が破壊されると血液中に大量に漏れ出してきます。肝細胞が破壊されればされるほどGOTやGPTの数値がたかくなります。 γ-GTP γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝臓の解毒作用に関係している酵素です。肝臓や胆管の細胞がこわれると血液中にγ-GTPが血液の中に流れ出てくることから、「逸脱酵素」といわれます。 そのため、γ-GTPは肝臓や胆管の細胞がこわれたことの指標として利用されています。 γ-GTPが血液中に多くなっても、それ自体が何か悪い影響をおよぼすことはありません。 γ-GTPが高くなる疾患には、肝臓の細胞が破壊される肝炎、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝などがあり、胆石や胆道がんなどで胆道がつまった場合にも高くなります。 健康診断のときに最も重要なのは、脂肪肝です。とくにアルコールを飲む中年男性の場合、飲みすぎによるアルコール性脂肪肝が問題になります。そのいちばんの指標として、このγ-GTPが重要になってきます。 医師が「お酒を飲むと上がる数値が高いですよ」という場合は、ほとんどがこのγ-GTPをさしています。 γ-GTPの正常値は男性で50国際単位(IU)以下、女性で32国際単位以下です。γ-GTPの値が100以下であれば、節酒あるいは禁酒することですぐに正常値にもどります。γ-GTPは比較的アルコールに短期的に反応するので、飲酒を一週間もやめれば下がりだします。 GOT GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)は、本来肝臓の細胞の中にある酵素です。しかし、肝細胞がこわれると血液の中に漏れ出てくるので、γ-GTPと同じ逸脱酵素です。 肝炎ウイルスや薬物などで肝臓の細胞がこわれたのを測る検査として利用されています。γ-GTPは肝実質細胞に加え、胆道の細胞からも逸脱してきますが、GPTは肝細胞にしかありません。 肝臓のぐあいが悪くなると、GOTとGPTの値がいっしょに上昇する GOTとGPTはほとんど同じはたらきの酵素です。 しかし、GPTは肝臓の細胞にだけあるのに対して、GOTは肝臓の細胞以外にも心臓の筋肉や手足の筋肉、血液の赤血球の中にもあるという点で少しことなります。心筋梗塞や筋肉がこわれた場合、あるいは赤血球がこわれた場合(溶血)には、GOTの値だけが上がってGPTの値は上がらないことがあります。 肝臓の細胞がこわれたときには、多くの場合GOTとGPTがいっしょに増加します。 GOTとGPTの正常値は、どちらとも40国際単位以下です。 これらが少なすぎることで問題になることはまったくありません。健康診断で問題になるのは、100前後のときです。100以下の場合には、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝などが考えられます。 お酒を飲む人の場合は、節酒あるいは禁酒することによって、下がることがあります。慢性肝炎や肝硬変の状態が悪い時期には数百くらいまで上がりますが、回復すると二桁になります。しかし、健康診断で100以下で指摘される多くの場合には、脂肪肝です。 |
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